明けましておめでとうございます。ついに2022年が明けました。今年は虎の年で、信者の皆さんの信仰と愛が虎のように強まるよう、また、信者の皆さんの望んでおられることが神様の御恵みによって叶えられるよう、お祈りいたします。今日は「神の母聖マリア」の祭日で、「世界平和の日」でもあります。聖マリアを神の母と呼ぶのは、マリア様が神様の独り子であり、神様のみ言葉であり、神様ご自身であるイエス様を産み、そのイエス様によって神様の救いの御業が始まるようになったからです。また、この聖マリアの祭日に世界の平和を祈り求めるのは、マリアからお生まれになったイエス様が、世に真の平和をもたらしてくださったからです。

イエス様はかつて使徒たちに、「わたしはあなたがたに平和を残し、わたしの平和をあなたがたに与える。」とおっしゃいました。このみ言葉は、イエス様の平和が世の中の平和とは異なるものであることを表しているでしょう。天地創造の以来、人間はみな自分なりの平和を築こうとしてきました。しかし、人間の平和は闘争と競争による平和で、一方が平和を得るためには、必ず誰かの犠牲が必要ですが、その犠牲となることを誰も望むはずがありません。ですから、戦いと争いは益々激しくなり、互いの悲しみと不幸はもっと深まっていくのです。ところが、神様はイエス様を通してその悲しい戦いと争いの歴史を断ち、真の平和の道を示されました。そのイエス様の平和は、誰もが想像もしなかった方式で成し遂げられましたが、それはイエス様ご自身が自ら命を献げるということでした。誰も他人のため、しかも、罪人のために自分の子供の命を犠牲とする愚かな行動はしないはずです。しかし、神様はイエス様の命をすべての人の身代金として払われ、神様しかできない愚かなことをなさいました。それこそが神様が人間に示された、真の平和の道で、わたしたちはイエス様の十字架からその道を見つけることができます。その十字架の上に釘付けられたイエス様の姿から、わたしたちは人間よりはるかに愚かな神様の姿を見つめなければなりません。その神的愚かさによって、わたしたちは自分だけの平和にこだわっている自分自身を悔い改め、新たになることで、イエス様と共に真の平和を築くことができるのです。

年明けの初めの日、教会は全世界のすべての信者の皆さんが一つとなって、神様がこの世に真の平和を与えてくださるよう、聖マリアと共に祈ります。イエス様の誕生の前からすべての出来事を心に納めて思い巡らしていた聖マリアは、自分のことを思わず、むしろ「主の平和のはしため」として自分を捧げました。その謙遜と従順の精神を持って、聖マリアはまことの平和であるイエス様を産んで、神様の平和の働き手となったのです。わたしたちもその聖マリアに倣い、神様からの平和を切に願いながら、一人一人が神様の平和の道具となることができるよう、必要な恵みをお祈りいたしましょう。

神父様のお説教ふりがな付き

☆彡新型コロナウイルス感染症に苦しむ世界のしための祈り ⇒ COVID-19inoriB7i