ノリコ感覚 その4 -ボリビアと私-

ボリビア地図カトリック系の中高一貫校に入学したのはちょうど今から50年前だった。東京郊外の広い校庭を持つ小学校で走り回って過ごしていた日々とは180度違う、とにかく礼儀作法が勉強よりも大切という雰囲気の学校に入った時は正直驚いた。お辞儀の角度が決まっているし、お掃除は普通掃除、中掃除、大掃除の3段階ある。職員室には入室禁止で、先生のほうから廊下で待つ生徒のところに出て来てくださる。もちろん、小学校と中学校、公立と私立という違いはあるが、何もかもが新しいことばかりで興味津々、今とは違う若くて柔軟な頭と心に、毎日のそういった出来事はおもしろいようにどんどん染み込んでいった。

その頃、うちの学校では、遠足の時に持ってきていいですというお菓子が3個までと決まると、もう一つ余分にお菓子を持ってきましょうという不思議なお知らせが来たりして、中一の時などは何故だろうと???が並んでしまった。その余分に持ってきたお菓子が、当時の北海道の開拓村へ送られると理解できたのは、もっと学年が上がってからだった気がする。でも、荷造りをして、貨物を扱う少し離れた駅まで、先生の運転する車で持って行ったことは、昨日のように鮮明な記憶だ。

 
北海道への荷物とは別に、靴や文具などを箱に詰める作業をしたことがあった。これについては、同級生であり50年来の友人であるKさんと、今でも会う度に笑ってしまう話がある。ある日、彼女と何人かとで、集まってきた靴を仕分けしていて、その中に汚れたものがあったので、洗って屋上に干しましょうということになり、二人で干しに行ったのはいいのだが、たぶん夕方になり時間も遅くなっていたのであろう、屋上から下の階に戻ろうとしてドアノブを回したのに回らなかった。つまり、もう先生か誰かが施錠をしたことで、私たちは締め出されたのである。
さあ大変!どうしよう!と思ったのだが、もう一か所、下に降りられる階段のあるドアがあることに彼女が気づいた。そちらに行ってみたら、ありがたいことにそのドアノブは回り、そして開いたのだった。あの時はちょっと、いいえかなりあわてたけれど、一人ではなかったし、無事に学校の建物内に戻れたのだから、今となっては本当に「笑い話」と言っていい気がする。「屋上」という言葉が我々の笑いのスイッチなのだ。

その荷物の送り先がボリビアだった。あちらにおられるシスターの所にお送りして、お礼のお手紙をいただき、その内容に驚いたことを覚えている。それは、『昨日は20mの蛇が出ました。』というようなものだった。想像でしかわからない現地の様子ではあるけれど、今から50年も前なら、まだまだ未開の土地も多かっただろうし、そういうありえない位の大きさの生き物がいてもおかしくないのかなと素直に思った。こんな風にその時の驚きをずっと覚えていることから想像しても、遠く離れた南米の地への自分の興味が相当に大きかったことがわかる。
                       
とても不思議だと思うのだが、先程触れた私の小学校の教頭先生は、確か、私が小学校の5年生当時、ちょうどボリビアの首都ラパスから帰ってこられたところだった。あちらの日本人学校の先生だったとのこと。標高が高いのでお米を炊くには圧力釜が必要です、というような話をされたと子どもながらに記憶している。「ボリビア」というキーワードで、私の小学校の先生と中高での活動が見事に繋がった。

 二俣川教会のメンバーになって3年が経とうとしているが、この教会ではボリビアへの支援活動をしていると知った時、本当にご縁があるなとしみじみ思った。

50年前にあちらの子どもたちへ送る文具や靴を箱に詰める折に、シスターからご注意があった。「日本からの荷物はとても人気があるので、外から見て日本からとはわからないように気をつけて」と。詳しくお聞きしてみると、あちらの税関の人とか、宛先以外の人が勝手に荷物を開けてしまったりするというのだ。開けるだけでなく、中身が新品だったりすると取ってしまうこともあるという。日本ではありえないことだけれど。なので、その対策として、箱の上のほうには使いふるしたものを入れ、その下に新しいものを入れましょうと決めた。今でもやはり荷物を無事に現地に送り届けるのは大変らしい。現在では、そこに税金の問題も加わってきている。もっとも、税金のことは当時私が中学生でその知識が単になかったからとも言えるのだが。

またメキシコの話で申し訳ないが、主人がメキシコに赴任する時、あちらでの自炊用に日本の電気炊飯器を持っていった。ちゃんと箱詰めしてあったのに、彼はそれを箱から取り出して、自分のジーンズでくるんでトランクに入れている。どうして?と聞いてみると、日本で買った時に税金を払っているのに、箱のままだとまだ未使用の物と判断され、自分がこれから使うものだと理解してもらえず、メキシコ入国の際に再度税金を払うように言われることがあるというのだ。
 
ボリビアシスター
先月のボリビアデーはとても素敵な一日になり、教会の方々、来て下さったシスター方、その他ご協力くださった皆さまに心からの感謝を申し上げたいと思う。
その折にも、シスターのお手紙などで触れていただいたが、現地へは、昔、私が携わったのと同じように、子どもたちの喜びそうな物(文具など)をお送りしており、とてもうれしいといったお返事を頂いている。
その宛て先を孤児院のような援助を必要とする施設宛にすると、税金が少なくてすむという。あちらでは受け取り時にも税金がかかるシステムのようだ。子どもたちのためにといった善意の品物なのにとても残念だなと思う反面、ちょっとした工夫をすることで税金対策ができるという事実は何だかおもしろい。
 
 現地の状況がどうであれ、これからもボリビアへの支援は続けていきたいと思っているし、続けさせていただきたいと心から願っている。いつの日か現地を訪ねることができたら、そして、「献堂

50周年記念企画」である、「50の教会」の中に、ボリビア/コチャバンバの教会を加えることができたら、どんなにすばらしいことだろうか。私の願いはきりがないようだ。