ノリコ感覚 その6:コロンビア、行ってみたら魅力的! 第1回

年が明けたら出発ということで、私はクリスマスも暮も何だか浮ついた気持ちで、全く落ち着かないで過ごしてしまった。自分の日程表を印刷して家族の目にとまるであろう所に置いても、荷物を作ってトランクのベルトを締めても、自分が遠い海外へ行くという現実が何故か受け止められなかった。そして出発の日がやってきた。

飛行機があまり好きではない私には、合計20時間もの飛行時間は正直言ってつらい。でも、そんなことばかり言っていては世界のどこにも行けないなと常々考えていることも確かだ。なので、手術室に向かう患者のように、「まな板の上の鯉」よろしく、たくさんお祈りをして機上の人になった。無事にヒューストンに着いたのだから、お祈りの効果(?)があったことは言うまでもない。

エル・ドラド空港(ボゴタ)の夜景

エル・ドラド空港(ボゴタ)の夜景

ヒューストンからボゴタに向かう機内で、3人掛けのシートの窓側に私がそして通路側に一人の若くて美しい女性が座った。彼女が普通に英語で、「この真ん中の席が空いているなんて、私たちはラッキーね。」と話しかけてきたので、到着するまで、アメリカ人なのかな?と思っていた。到着の30分ほど前になった時、私は窓の外の満月にようやく気づき、彼女に「ほら、見て!満月よ。」と言った。彼女の席からは見にくいので、彼女は私の席に寄ってきて、二人で、「何てきれいなの!」としばらく外を眺めていた。そして、ところであなたは旅行者なの?と聞いたら、彼女は「あら、私はコロンビアーナよ。」と誇らしげに言ったのだった。最初から、きれいな人だからたぶんコロンビアの人だろうと自信を持ってそう思えばいいのに、くせのない英語で話していたことで混乱してしまった。でも、コロンビアの第一印象はこれですばらしく良いものになった。「美人の多い国」なのだ、巷で言われている通り、きっと。

初めて訪れる都市に、夜10時をまわってから到着というのは不安なものだ。増してや、自分の荷物が届かないなんて!! いくら待っても自分のトランクが出てこないので、諦めて係の人に荷物の受け取り表を見せ、ホテルの名前を伝えて、主人の電話も併せてメモしてもらって、ようやく SALIDA(出口)に行くとエル・ドラド空港に主人が来てくれていた。メールでは中から(私から)見えるところにいると言っていたのにと言うと、もうほとんどの人は出てきたのに私が出てこないので、とにかく、この出口にいれば会えると思っていたとのこと。まずはお互いにほっとした。

ホテルは空港からタクシーで15分くらいだっただろうか、夜なので外観は全くわからず、とにかく部屋に落ち着いて、ああこれで寝られるぞ、と思ってうれしかった。因みに、中南米のホテルはたぶんこういう形式なのだと思うが、シャワールームはトイレとガラス戸で区切られていて、もちろんバスタブなどはなく、シャワーヘッドは固定されていて大きい。日本の、取り外しができて軽くて使い勝手の良いものと比べると、お湯の向きが変えられないなどかなり不便だが、それでも湯量がたっぷりなのがすごい。

モンセラーテの丘の上の教会

モンセラーテの丘の上の教会

到着の翌日には、モンセラーテの丘に登った。ボゴタはもともと2600mという高地なのだが、丘に登るテレフェリコと呼ばれるロープウェイで一気に600m上がるので、つまり3200mという日本アルプスの頂上くらいの高い所に登ったことになる。しかし、時差もあり、高地ということもあって、せっかく丘の上の教会でゆっくり祈るチャンスだったのに私はフラフラだった。でも、お土産屋さんで有名な「コカ茶」を飲んだら、やっと一息ついた。

ここでまたミニ情報を。お店のおじさんは気楽に「日本へのお土産にコカ茶はどう?」と言ってくれるのだが、税関で没収されるので注意してほしい。コカ茶は日本には持ち込めない、いわゆる危険薬物に指定されているからだ。コロンビア国内で買って飲むことには何の問題もないし、とても美味しいのだけれど。

ボゴタの花市場

ボゴタの花市場

三日目の午前中には、テレビ番組などでも紹介された、ボゴタの「花市場」にホテルのタクシーで連れていってもらった。本当に広いところで、ひまわりやばらやその他の花が50本くらいの束にしてあり、多くの人たちが忙しそうに働いていたその活気が、私の印象を良いものへと変えてくれた。というのは、市場のあたりはごちゃごちゃした、治安に問題のありそうな地域であり、そこへ行くことがはたして大丈夫なのかと主人とも話し合って、ホテルのタクシーにお願いしたのだった。もしも車から降りることが危険だなと感じたら車内から景色を見るだけという選択もできるように。

ボゴタからプロペラ機で、今、主人の暮らしているマニサレスの空港に到着した。ジェット機ではない飛行機なんて何年ぶりに乗ったのだろう。でも、なかなか機能的で乗り心地も良かった。マニサレス・ボゴタ間には、一日7便の飛行機があり、市民の足になっている。両市間の距離は200kmくらいだから、平地なら車で2~3時間なのだろうが、何しろ高地なので、くねくねとした山道での200kmの移動は大変だ。その上地形的な問題で(金銭的な問題ももちろんあるだろうが)、この空港は有視界飛行となっている為、特に、午後の便などは霧のせいでなどと言っては近くの国際空港(見た目はとてもローカル!)であるペレイラの空港着に変更となってしまうらしい。全く不便なことだが、何だか愉快な不安定さだ。

上空からみたマニサレス

上空からみたマニサレス

マニサレスは高度2200m、家々が山にへばりついているような町だ。最初の情報では人口40万人と聞いていたが、次々とマンション(アパート)が建てられていて、今は45万人以上ではないかと言われている。そして、大学が12もあるという学園都市でもある。そのせいなのか、最初、私には少し気取った町に見えていた。若い人が多いこともあるが、中年の人たちも帽子や靴やアクセサリーを上手に使っておしゃれをしている。スマホをいじりながら歩いている人はもちろんいるが、何しろ尾根を通る、4車線のメインストリートから両側に降りていく坂の角度が半端なくすごいので、坂を登るにしろ降りるにしろ、とにかく一生懸命に歩かなければならない。靴もしっかりした物を履いている気がする。日本で、この高度でこれくらいの人口の町を探すのは無理だし、比較ができないだけに、どう考えても山の上のほうにいるという感じがしないのだ。主人の住んでいるあたりは静かな住宅地だが、バスで15分ほど行くと町の中心であるセントロに着く。どこからこんなに人が集まってきたのだろうと思うくらいたくさんの人たちが歩き、食べ、買い物をしている。路上にいろいろな物を並べて売る小さな店とも言えないような店がずらっと並んでいる。こちらではカブレと呼ばれる、日本でいうロープウェイもセントロのカテドラルの近くから乗ることができる。2200mの高さにこの規模の町がある!すごく不思議だし、とても魅力的だ。

(次回へつづく)