コロンビア、行ってみたら魅力的! 第2回  -ノリコ感覚 その7-

コーヒーの木

コーヒーの木。赤い実がなっている。

主人の住むマニサレスを日本の地名表記風に表すと、コロンビア国カルダス県マニサレス市となる。日本の人たちに、「コロンビアと言えば?」と聞いたら、ほとんどの人の答えは「コーヒーの国!」となるだろう。
このカルダス県は、コロンビアコーヒーの産地として非常に有名である。今回は、知り合いのミゲルさんに頼んで車を出してもらい、往復200kmのコーヒーロードを移動した。

まず、朝7時に主人の家を出発し、セントロを通り国際空港のある隣町のペレイラに入ったあたりの道端の店で3人で朝食をとった。典型的な朝食のメニューは、アレパというトウモロコシの粉で作ったパンのような、店によってはお餅のようなものと、チョリソーというスパイシーなソーセージという感じだろうか。飲み物は、私だけでなく皆さんがコーヒーを注文する気がする。

この旅行の間、コロンビアのどこで飲んでもコーヒーがとてもおいしかった。本当に幸せなことだったと思う。
ブラックコーヒーのことをこちらでは“ティント”と言うが、スペイン語の辞書を引いても、ティントがブラックコーヒーの意味だとはどこにも書いてない。
日本に戻ってから、大学のスペイン語科を卒業している娘に聞くと、『それはコロンビアの独特の言い方 だと思うよ。』と言う。(注:普通にはティントは赤ワインのことをさす。)確かに、こちらの方々は日々、ティント!、ティント!と楽しげに注文している。たまにはミルク入りのコーヒー(カフェ コン レチェ)を頼む人もいるが、基本的には、コロンビア人はティントに砂糖だけを入れて飲んでいる。

朝10時には、この日の目的地の“Parque Nacional del Café”つまり、「コーヒー公園」に着いた。国立のコーヒーテーマパークといった感じである。いなか道をぬけて来たせいか、急に人がたくさん現れたと思ったら、『もう着いたよ!』と言われてびっくりした。でも、公園の入口を入って傾斜地一面がコーヒーの木々で覆われている景色を目にした時の感動は一生忘れられない。

公園内はすごく広かった。出入口近くのカフェのあたりでまず写真を撮ったり、雰囲気を味わったりした後、テレフェリコ(ロープウェイ)で下のほうへ降りていった。下の広場に開放的なレストランがあり、お腹もすいたし喉も乾いてきたので、早目に昼食をとった。朝と違って、気温がどんどんあがってきて暑い。さすがに赤道に近い南国だ。買ったボトルの水やソフトクリームのおいしかったこと!!寒い日本にいる皆さん、一足お先に。ごめんなさいね。

公園内のステージで、コーヒーの歴史を歌や踊りで振り返り、楽しく見せるショーがあるというので行ってみた。どれくらいの人たちが来るのかと興味を持って見ていたら
すごい、どんどん入ってくる。あっと言う間にいっぱいになった。千人くらいはいただろうか。おじいさん、おばあさんから赤ちゃんまで、年齢性別は問わず。でも、外国人は私たちだけだったような気がする。すぐ後ろが赤ちゃんを抱いた人で、その赤ちゃんがよく動く足をバタバタし、その足が私の背中に何回も当たる。かわいいので怒る気にもならず、「何か月ですか?」などと質問してみた。

この会場は、椅子のないコンクリートむき出しの階段状の客席にすし詰め状態でたくさんの人が座り、スマホの画面があちこちで光り、音はガンガン鳴り、狭いスペースにもお構いなしに人が座ろうとするという、日本的に言えば秩序のない空間だったのだが、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。逆に言うと、この雑然とした雰囲気に入り込めないと、中南米では充分には楽しめないということなのだと思う。路線バスやタクシーのような交通機関に乗っていても、運転手さんは音楽を聞き、電話でおしゃべりをしながら巧みにハンドルを操っている。聞くな、話すな、などと言ったりするのは野暮というものだ。彼らの運転の腕は確かだから、この国にいる間くらいは、日本的秩序なんていうものはとにかく忘れて楽しもう、そう私は思っていた。

レストラン前左の写真は公園内のレストランの前なのだが、コーヒーを栽培し始めた頃に、作業をする人たちが住んでいた家をモデルにして建てたものらしい。赤や黄色というような南国的カラフルさはないが、美しい佇まいをみせている。コーヒーの栽培は大変で、ショーでもそれは強調されていたが、当時の人々ががんばったおかげで今日があることはとても喜ばしい。この美しい家を見ても、成果が十分にあがっていたことはよくわかると思う。

3時までゆっくり楽しんでから帰途についた。帰りは少し道を変えて、コーヒー公園のあるモンテネグロの町の隣町アルメニアに寄ってみることにした。少し見ただけだからいろいろは言えないけれど、マニサレスほどの整然さはないものの、ペレイラに似た活気がある町だなと思った。セントロあたりにはすごく人が多い。運転手のミゲルさんが車を停めて待っていてくれた間に、この町のカテドラルを訪れた。

アルメニアのセントロにあるカテドラル

アルメニアのセントロにあるカテドラル

おわかりだろうか。高いヤシの木は南国らしく、教会の屋根の上の星はクリスマスシーズン用に飾られているものだ。ちょうどこの日、この飾りと教会前の広場の飾りが片づけられるところだった。そして教会の中ではお葬式が行なわれていた。神父様と遺族の方々が悲しそうな顔で列になっているのを横目で見ながら、観光客たちは自分は関係ないとばかりに祭壇などをながめていた。
このアルメニアにも、コロンビアナンバーワンのコーヒーブランドである、「フアン バルデス」のカフェがあった。もちろん、コーヒー公園内にもマニサレスにもあるし、あとで触れるメデジンにも 、カリブ海に面したカルタヘナにもある。パラソルの開いた座席がいくつもあって、建物の中にはあまり席を設けてないようだ。夜でも寒くないお国柄なのか、それとも外の景色を楽しむことが主なのか、落ち着いた色のパラソルが印象的な外の座席がやはり素敵だった。店舗内ではお土産に最適な袋入りコーヒーも売っている。コーヒー豆そのものは国外に持って出ることができないのだが、ドリップ用に挽いて袋詰めされた何種類かのコーヒーが一つの箱に入っているものもあった。空港でもコーヒーは売っているだろうが、町の中心部にあるカフェでコーヒーを楽しみ、そこでお土産も買うというアイディアはとても良いのではと思う。これをもらったら誰でもきっと喜んでくれるに違いない。そう確信できるほど、ここのコーヒーはおいしい。

 今回は主にコーヒーについて書いたが、もう一つ、とてもおいしいものがあった。それはバナナだ。日本では生で食べると決まっているようだが、こちらではいろいろと調理して楽しむ。でも、生で食べるものは普通にバナナと言い、1本が5円くらいですごく安い。調理用のバナナはプラタノと言って、バナナよりはだいぶ大きくてびっくりする。ランチにはこのプラタナを1㎝弱くらいの厚さに切って揚げたものがよく付いてくる。これが甘すぎないので、肉の付け合わせにはぴったりだし、すごくおいしい。そう言えば、教会のパーティーなどでフィリピンの方々がよく作ってくれる「バナナの春巻き」があったなと懐かしく思い出していた。(次回へ続く)