ついに、罪と死に打ち勝たれたイエス様は復活されました。真の命の主となられたイエス様の復活の平和と喜びが、信者の皆さんの上に豊かに与えられるようお祈りいたします。神様はご自分の独り子を、新しい過越祭の小羊として十字架の祭壇で捧げ、アダムとエバの罪以来、全人類を苦しめてきた罪と死を打ち砕かれました。そして、その独り子の復活を通して、信じるすべての人が、神様ご自身の永遠の命に与れるようにしてくださいました。こうして、神様は誰もが想像したこともない救いの御業を全うされたのです。確かに、イエス様の復活とは、私たち人間の働きに依ったものではなく、神様の慈しみと愛の御心によって成し遂げられたものであることを、私たちは素直に感謝を込めた心で認めねばならないと思います。イエス様の復活は、世の中の知恵のある人たちや力のある人たちには理解できないもので、子供のような人たちだけが聞き分けることのできる、神様の神的愚かさの結実であると言えます。神様はイエス様の御子としての従順を通してその愚かさを示し、すべての人が自分をへりくだって神様のもとに立ち返り、復活の命を得ることを望んでおられます。今年の復活祭を迎えるにあたり、私たち一人一人が心を新たにして、神様のもとに立ち返ることができるように務めるべきだと思います。

事実、キリスト教はイエス様の復活によって始まりましたが、それは単に、世界的な宗教の誕生という意味だけで理解されてはいけないと思います。それは、イエス様の復活によってすべての人が新たに生まれ、イエス様の命に生きるようになることです。つまり、今まで自分がまとってきた古い衣、例えば、世の悪い教えや風潮、不正なやり方や自己中心的な心、世俗的な力を頼みとする誘惑などを脱ぎ捨て、イエス様の愛の新しい衣を着ることです。言い換えれば、世の中で生きながら、自分も知らないうちに、或いは、気づきながらも避けられなかった様々な罪や過ちを洗い、イエス様の愛に従う人、つまり「キリストの人」となることです。その人たちには世の中の色々な苦しみも迫ってくるはずですが、神様がご自分の恵みと力で彼らを守ってくださいます。イエス様の復活はそういう神様の恵みと力の確かな証なのです。ですから、私たちは世の中の悪や罪と戦いながら、イエス様の福音とその生き方に沿って生きるべきです。それこそが、キリスト教というある宗教に属している人というだけではなく、キリストの復活に与っている人たちの真の姿でしょう。

さて、新型コロナウイルス感染のさなかで、治療薬やワクチンによる希望の光が見えてきました。しかし、一方、世界の国々で、その光を消そうとする気配も感じられます。いわゆる、政治に携わっている人たちは前の世紀の悪事を捨てないばかりか、むしろ、繰り返そうとしているようにも見えます。恐らく、人類は前の世紀の中で、軍事力や経済力などの世の中の力に酔ってしまったのでしょう。世界のあちこちの戦争や紛争も続いていますが、最近ミャンマーで起きていることは、世界に新しい心配と悲しみをもたらしています。こんな状況の中で、新型コロナウイルスに打ち勝ったとしても、それは意味のある勝利と言えるでしょうか。天地万物が造られる前から神様はおられ、その神様の愛によって世界は創造されました。神様から頂いた命は、人間の政治や武力ではなく、神様の愛によって守られるのです。従って、命を奪う、或いは、狙うことは、自ら人間であることを否定することと同じで、それは愛の神様を拒むこととなるのです。今の時代の人たちは時折、様々な形の豊かさ(豊富さ)を成し遂げたのは自分たちだと誇りますが、その裏にいかに卑劣で恥ずべき犯罪や罪悪の歴史があったかについて、先ず、気づくべきだと思います。そして、皆が力を合わせて、そういった邪悪な動きと戦うべきだとも思います。キリストの復活に与っている信仰のある人々は、その戦いにも与らなければなりません。イエス様は今の時代にも、私たちを通して、罪や悪と戦っておられます。それを信じて、今も世界の各地で命が狙われている多くの人々のために、神様からの力を祈り求め、神様が私たちと共に戦ってくださることを願うことが必要だと思います。

ようやく、イエス様の復活と共に、信者の皆さんとともに捧げるミサも再開できました。まだ、先が見えない状況が続いていますが、とにかく、この病気が終息されるまでには、まだ色々気を遣わねばならないと思います。どうか、神様が私たちを憐れんで、また、守ってくださるようお祈りいたします。改めて、復活の恵みが信者の皆さんの上に豊かに注がれますように。アーメン。

原文のPDFファイルはこちらをクリックしてください。⇒2021年4月4日姜神父様のお説教

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2021年四旬節教皇メッセージはこちら =>https://www.cbcj.catholic.jp/2021/02/15/22109/

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